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11月 文京区

エリマキツチグリ      襟巻土栗      ヒメツチグリ科


いよいよきのこの季節である。
きのこって植物かよ、というツッコミはさておき。
今回は、昨年の晩秋に撮ったのだが
「傘の森」に収めそびれていた
エリマキツチグリを紹介させて頂く。

生物の和名には同姓同名の別人がまま見うけられる。
ミヤマクワガタなどは極端な例で、
子供の大好きなでっかいクワガタムシだと思っていると、
楚々とした青い花をつける山野草だったりする。
植物にもクワガタソウという一族がいるのだ。
「君、血液型なに型?」
「くわがた」
とは担当編集者の教えてくれた冗談である。

さて、比較的ポピュラーなキノコであるツチグリにも
同名異人がいる。

植物のツチグリは、山と渓谷社「春の野草」によれば、
九州地方に生えているらしい。
根が膨らんで食用になるので、
地中の栗としてその名をもらったようだ。
類似のミツバツチグリはもっと全国に分布しており、
春先には東京でも普通に見られる。

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ミツバツチグリ 3月 調布市

こちらはバラ科キジムシロ属の植物で、
実際非常にキジムシロと紛らわしい。
同定のポイントは葉の付き方。
ミツバ状になってるのがミツバツチグリで、
キジムシロはサンショウのような奇数羽状複葉をなす。


キノコの方のツチグリの名の由来には疑問はない。
上の写真のように殻がめくれて中身が出てくるあたり、
トゲこそないが熟した栗の実を連想させる。
どちらかといえばミカンの皮むきのような感じもするが。

不思議なのはむしろこれが木の実ではなく、
キノコの本体(子実体)だという事実だろう。
しかも持ち上げれば普通に拾えたりする。
自然の造型手腕にただただ脱帽するしかない。


ツチグリの仲間にはいくつか種類があり、
エリマキツチグリの場合は老成するにつれ
左中の写真のように「実」の周りに
えりまきが出来ることが多い。

分類的にはエリマキツチグリはツチグリ科ではなく、
フクロツチガキを含むヒメツチグリ科に属する。
柿のへたに似て愛らしいフクロツチガキの姿は、
森山恵presents「Studio Media」
ギャラリーに紹介されているので、
ぜひご覧頂きたく。

紅葉の季節、
踏みしだく落葉の間や斜面に顔を出す
ツチグリたちの姿はユーモラスである。

秋の散策もまた愉しい。

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ツチグリ 3月 神奈川県箱根

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11月 文京区

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11月 文京区

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