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コオニタビラコの咲く休耕田を歩いてゆくと、 |
開花の時期は違いこそすれ、 これらはすべて同じリンドウ科リンドウ属の仲間である。 リンドウは竜胆と書く。 乾燥させた根は漢方薬になり、驚くほど苦い。 一般に動物の胆は苦いが、 竜の胆ならばさもあろう。 写真をみると、花茎が短く 葉も目立たないことから 青いフクジュソウのような印象を受ける。 しかし実際には フクジュソウのように目を引く花ではない。 高さは5〜10センチ、 開いた花の直径は2、3センチといったところか。 つぼみの形を毛筆に見立て、 フデリンドウの名で呼ばれている。 ハルリンドウやコケリンドウもよく似た感じだが、 これらは根元の方に ロゼット状の根生葉があるので区別ができる。 なだらかな崖には 寒い季節の名残の落葉が敷き詰められていた。 冬枯れを思わせる眺めの一角に、 そこだけ色を置いたように小さな花は咲いていた。 斜面に身を屈めて写真を撮っていると、 春の気配を感じ取ってか 一匹のはなばちが吸蜜に訪れた。 こうやってフレームで切り取ってみると、 何だかブローチや髪飾りのようでもある。 爽やかな青紫と葉の緑に加え、 処々に滲む紅の色が美しい。 あるいは絵具を含ませた筆であったのかもしれない。 |
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![]() 4月 町田市 |