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晩春の林下に佇む白銀の竜。 |
確かに、まあ、かなりキノコに近い。 そんな生活様式の都合上、 ギンリョウソウが暮らす場所は必ず林の暗い陰になる。 昼なお暗い樹下に 白い影がぼうっと見えているさまは独特の雰囲気があり、 山歩きの写真家に好まれる被写体である。 とはいえロケーションがロケーションだけに、 思うように写すのは一筋縄では行かない。 撮影日は好天であったが、 ギンリョウソウの生えているあたりは ISO400相当で絞りを開放(f3.8)にしても シャッタースピード1/15秒がやっとの明るさである。 フラッシュを焚きたくなければ三脚は必需品だ。 ただし大きい必要はない。 つーか大きいとローアングル仕様でないと使えない。 私の場合、20センチほどの卓上三脚で済ませている。 なお、オートだと露出計が背景の暗さを拾ってしまうので、 マイナス0.5〜1.5程度の露出補正をかけるとベター。 もっともフラッシュを焚けば焚いたで、 この半透明の被写体がなかなか 面白い効果を演出してくれることは付記しておきたい。 威風堂々とした姿ばかりが紹介されがちな ギンリョウソウであるが、 実物は写真から想像するより遥かに小さい。 高さはせいぜい10センチ程度。 190gのコーヒー缶を立てたくらいか。 ってたまたま目の前にあるものを物差にしてるだけだが。 図鑑等の紹介文はいかにも 暗がりで白く目立つようなことが書かれているものの、 別に光っているわけではない。 それなりに注意していないとあっさり見落としてしまう。 これらのギンリョウソウは いずれも高尾の登山道沿いに生えていたものだが、 私が見ていた限り目を留める人はひとりもいなかった。 皆、興味がないのだと言ってしまえば それまでなのだけど。 しくしく。 今回、生えている様子がわかるように 少し引いたアングルで周りを写し込んでみた。 意外に地味なのがお分かり頂けると思う。 これから見つけてみようという方は 参考にして頂ければ幸いである。 その際はセッコクの時同様、双眼鏡も忘れずに。 撮影からほぼ2週間を経て、東京は入梅した。 雨の雫を纏う姿もまた美しかろうと思いつつ。 |
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5月 八王子市 |