花の中央に描き出される幾何学的な模様も面白いし、
種はシマリスのご飯になる。
シマリスは大好きだったのだ。
そんな当時の私の好悪の念とは関係なく、
今も昔もヒマワリは夏の花の代名詞である。
麦藁帽子に虫捕り網を持った少年を描き、
その隣に彼の背より高い黄色い大輪の花を置けば、
誰しも夏休みの光景を思うだろう。
ヒマワリ、蝉の声、入道雲。
夏の絵日記の三点セットである。
映画の印象もあって
ヨーロッパの植物みたいな気がするが、
原産地はアメリカ大陸らしい。
インカの人々に太陽の象徴とされていたこの植物を
欧州に伝えたのは、
他ならぬコロンブスなのであった。
花の小さいヒメヒマワリをはじめ、
ここに紹介したようにさまざまな品種がある。
右中央の赤黒い花は新宿御苑で見られるので、
興味のある方は夏の間に訪れてみてはいかがだろう。
太陽の花そのものズバリの英名、
sunflowerはあまりにも有名だ。
私の実家は宮崎にあり、
東京と宮崎を結ぶ観光客船に
「さんふらわあ号」なるものが周航していた。
テレビでもCMを打っていたのでご記憶の方もあろう。
船自体は乗ったことがないし、
英語をひらがな表記するセンスが
どうにも受け付け難かったのだが、
お陰でサンフラワーという単語とその意味は覚えた。
今思えば、宮崎の旧国名である
日向に引っかけた命名だったのかもしれない。
宮崎の辺には「にちりん」という特急列車も走っており、
こっちは私も乗ったことがある。
そういえばゴレンジャーに出て来た日輪仮面も
微妙にヒマワリ的ではあった。
学名の属名Helianthus も、ギリシア語のhelios(太陽)と
anthos(花)に因む命名である。
* * *
先年、晩夏のヒマワリ畑に足を踏み入れたことがあった。
大人の背丈を越す大きな花々に囲まれて立っていると、
蝉の声と風にそよぐ微かな葉ずれの音だけが耳につく。
額から滲み出た汗が一筋、
頬を伝って胸元に流れていった。
派手な大輪の花の印象とは裏腹に、
そこには茫漠とした寂寥感が吹きぬけていた。
かつて映画を観た高田馬場の早稲田松竹は
その後名画座の看板を外し、
先頃閉館してしまった。
スクリーン一杯に広がったヒマワリ畑が懐かしい。 |