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オオイヌノフグリ・ホトケノザと本種が |
写真のように混生していると 爽やかに春めいた色の競演がみられ、 思わず気分も浮かれ出そうというものだ。 オオイヌノフグリが大きなイヌノフグリであるように、 ヒメオドリコソウもまた小さなオドリコソウである。 そしてオオイヌノフグリが帰化種で イヌノフグリが在来種なのと同様、 日本に先に生えていたのはオドリコソウの方だ。 ヒメオドリコソウは明治中期に 海を渡ってやってきたお客さんである。 これらの植物がいずれも 19世紀後半に日本に渡来しているのは、 鎖国を解いて世界各国と交易をはじめたからに他ならない。 在来種をおびやかしたりして 何かと敵視されがちな生物の帰化種ではある。 しかし彼らはそんな歴史の生き証人でもあるのだ。 本家のオドリコソウの開花はもう少し先の話だ。 改めて紹介するつもりだが、 全体的なイメージはヒメオドリコとはだいぶ異なる。 サイズもケタ違いに大きいし。 強いていえば花がやや似てなくもない。 踊り子の名はこの花の形に由来する。 早春の寒さをしのぐためだろうか。 ヒメオドリコソウは全体に細かい産毛を纏っている。 このため陽差しが吸収され、 強い光沢が出ない。 近くに寄ってみると独特の柔らかい雰囲気がある。 そのひし形の葉は、 陽光を効率よく浴びるべく 下が大きく上にゆくにつれ小さくなっている。 従って全体のフォルムは三角錐状をなす。 他の植物の間から顔を出していることが多いので 少々判りにくいが、 この三角錐の下には「幹」がある。 右の写真をご覧頂きたい。 草体の割に太くてしっかりした茎が見えている。 茎の断面は四角く、 これはシソ科の植物にありがちな特徴である。 太い幹の上部に茂る三角錐状の葉。 どこかで見た図ではないか。 そうだ。クリスマスツリーだ。 茎は2月初頭頃から 草原や畑地にひょこひょこ立ちあがってくる。 やがて葉の間にピンク色の蕾が見え隠れし始めると、 小さなツリーの飾り付けが始まる。 飾り付けが終わる頃、 東京近辺では春の嵐がやってくる。 丈夫な茎は強風にあおられても平気だ。 踏まれたりするとちょっとめげるが、 それでも再び太陽を目指して立ちあがってゆく。 なかなかどうして、 たくましい踊り子さんなのであった。 |
![]() ![]() 3月 文京区 |
![]() ![]() 2月 東村山市 |