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5月 八王子市

ホオノキ         モクレン科


なんとはなしに勇壮な雰囲気の樹木である。
背も高いが何よりも葉がデカい。
長辺は3、40センチに及び、
昔の子供たちは穴をあけてお面にしたほどである。
質も極めて丈夫で、
上にものを乗せて焼いても平気だ。
懐石料理でたまにお目にかかる朴葉焼きである。
きめが細かくて良質の木材でもあり、
朴歯のゲタは名高い。

そんなステキな落葉高木が、
5、6月頃になると何やら甘い匂いを漂わせるようになる。
バニラのような強い香りは、
この木の花が放つ芳香なのだ。

ホオノキの花はご覧のような
クリーム色の大輪の物体である。
たいがい高い場所の枝先に咲いているが、
何しろ大きいので遠くからでも目立つ。
大きいからかどうか、その芳香もまた鮮烈だ。
上の写真は高尾山のもの。
自然散策路(4号路)の釣り橋近くに群落があったが、
その香りは風に乗って川を隔てた道にまで余裕で届いた。

左の写真はまだ咲き始めの頃で、
中央の花芯が鮮やかな赤紫色に染まっている。
たまたま道が高い場所にあったので、
この美しい大輪の花を近くで愛でることが出来た。
おかげで道路一帯は
むせ返るような甘い香りに満ちていたが。

この時実は最初花の存在を知らなかった。
気付いたのはまったく強烈な匂いのためである。
花の派手さと相俟って、
ちょっとトロピカルな気分になった。

花の形はこの木の属するマグノリア(モクレン)の一族では
おなじみのタイプで、
下に示したタイサンボクのそれにかなり似ている。

もっとも、ツヤのある固い葉がホオノキとは全然違うのと、
花のサイズがさらに一回り大きいので容易に区別がつく。
街中の公園や民家の庭先で、
初夏に薄茶色になった
大きなスプーンのような花びら
(正しくは蕚)を散らせているのは、
このタイサンボクである。

写真は公園の木の傍に留めた自転車を足場にし、
そこから鉄柵に足をかけてよじ登り無理矢理撮ったもの。
途中で足を滑らせかけて肝を冷やしたのを覚えている。
たいへんに危険なので、
普通は下から見上げるに留めておきたいものである。

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5月 東村山市

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タイサンボク
6月 文京区

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