そのような怪しからぬ鳥になぞらえられる本種も、
欧米の人から見るとやや印象が異なるらしい。
英名はToad Lily。
すなわち"ひきがえるの百合"である。
湿った日陰に生えていることもあり、
イメージ的にはこれはこれで納得はゆく。
秋は実りの季節である。
自然の状態で見られる花々は、
春夏に比べてずっと少なくなる。
9月から11月にかけて花期を迎えるホトトギスは、
この時期に我々の目を楽しませてくれる
数少ない草花だ。
民家の庭先や公園に植えられているのも見かけられる。
栽培種の常として、
ホトトギスにも細かい品種がいろいろある。
ざっと十数種が知られており、
その区別は素人目には難しい。
写真の花は皇居東御苑に咲いていたもので、
調べた結果タイワンホトトギスだと判明した次第である。
本来の自生地は台湾から西表島のあたりらしい。
人気があるのか栽培が容易なのか、
都内でも新宿御苑だの石神井公園だの
あちこちに植えられている。
花はユリ科の特徴をよく表しており、
近くに寄ってみると
毒々しいとは言わないまでもちょっと奇態な雰囲気だ。
しかし実際には3センチ程度しかないため、
ぱっと見は決して派手ではない。
色は紫系統がポピュラーだが、
白花を咲かせるものや黄色い花をつけるものもある。
茶道を嗜む向きには人気の茶花であると聞く。
名前のせいもあるのだろう。
これがひきがえるの百合では少々侘び寂びに欠ける。
ホトトギスはルリタテハの食草でもある。
待っていれば蝶が来るかな、と思ったが
残念ながら会えなかった。
いよいよ秋本番。 |