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5月 調布市

キンポウゲ    金鳳花 キンポウゲ科

名高いトリカブトやクサノオウを擁する有毒植物の宝庫、
キンポウゲ科の総元締である。

しかしキンポウゲ自身の毒成分が
話題になることはあまりない。
華奢な植物でもあり
間違って食用にされることもないのだろう。

植物毒は口に入れない限りまず問題はない。
っつーか、食べようと思うと
その辺の花壇や花屋の花もかなり危険だ。
スイセンやツツジなんか命にかかわる。

実際有毒植物には、
美しい花をつけるものが少なくない。

キンポウゲ科はまた、
多くの観賞用に愛でられる花々をも含んでいる。

本種キンポウゲの学名はRanunculus japonics
この名前でピンと来る方もおられよう。
春の花壇で毬のような色とりどりの可愛らしい花をつける
ラナンキュラスと同属なのである。

また、やはりキンポウゲ科のイチリンソウ属には
清楚なニリンソウやアネモネがその名を連ねているし、
面白い形のオダマキの花やオキナグサ、
私の大好きなクレマチスに
クリスマスローズやフクジュソウ。
みんなキンポウゲ一座の花形スタア連中である。

もちろんどれもだいたい毒成分を有しており、
フクジュソウなどは10年ほど前にも
徳島県で死亡事故が起きている。
見て楽しむものと食べて美味しいものとは
きっちり区別しておきたいものだ。


そうした華やかで恐ろしい連中を従えるキンポウゲは、
しかし決して派手な花ではない。
独特のエナメル光沢を持つ花は直径3センチほど。
細い茎の先でゆらゆらと風に靡いている。

図鑑にはよく「キツネノボタンやタガラシに似る」とあるが、
そっくりなのは花の様子だけで、
植物としての見かけはかなり異なる。
小さな花の割に草体のごついキツネノボタン類に比べ、
キンポウゲはもっとずっと華奢なたたずまいなのだ。

ただし花が大きい分、
群生するとちょっと息を呑むような眺めになる。
先年多摩川べりで見かけた一群は、
広い土手一面に金色の波を形作っていた。


ものの本によれば、
もともと金鳳花とは
本種の八重咲きのものを指す名前であるという。
写真にあるような一重の花は、
ウマノアシガタと呼ぶのが正しいらしい。

馬の足形とは変な名前である。
根生葉の形が似ていることに由来するそうだが、
支持する声は少ない。
山と渓谷社「日本の野草」も
「よく見るとあまり似ていない」とにべもない。

それかあらぬか、最近の図鑑はどれも
単にキンポウゲとして紹介されている。


写真は野川公園内の群生である。
まだ日が高かったので強い光沢を放っている。
右中のみ昨年の多摩川での撮影で、
この時はやや夕方に近かった。

花の色は傾きかけた春の陽光を映し、
なんだか少し優しくみえた。
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5月 調布市

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4月 日野市
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5月 調布市

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