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3月 国分寺市

ショウジョウバカマ  猩猩袴    ユリ科

シュンランやカタクリと同じ頃、
樹下にしずかに花をつける山野草である。

その名は花の淡紅色をショウジョウの顔に、
葉の重なり具合を袴に見立てたものであるという。

上の写真は日陰なので紫味が強くなっているが、
確かに桃色を帯びた花ではある。
しかしショウジョウというイメージではない。
猩々はショウジョウトンボに代表されるように、
もっと鮮烈な赤や朱色を思わせる言葉である。

このため、はじめてこの花を見た時に
名前と一致せずちょっと悩んだ記憶がある。

写真だと大きさが分かりにくいが、
ショウジョウバカマの花茎は数センチ程度だ。
決して大きな花ではない。
やや湿った場所を好むこともあり、
他の早春の花々に比べると
少々地味な感じがある。

ところが成長はこれで終わりではない。
花が落ちて実をつける頃には、
なんと50センチを超える高さに育つってんだから驚く。

これは植物には時折見られる現象で、
まず大急ぎで花を咲かせちまった後に
やおら成長をはじめるのである。
ヒガンバナなどもそうだ。

春の花ではフクジュソウがその代表選手といえよう。
1〜2月に雪の中に開く可憐な黄色い花は有名だが、
その後ずんずん伸びて
ごく普通のキンポウゲ科の植物になってしまうのは、
あまり知られていない。


ショウジョウバカマにはもうひとつ、
ちょっと面白い癖がある。

写真には映っていないが、
この植物は長く伸びた葉の先に芽をつけることがある。
植物の芽は普通は葉の脇から出るもので、
それ以外の場所にできるものを
専門用語で「不定芽」という。

ショウジョウバカマは種子で殖えるほかに、
不定芽によっても殖えることが可能なのだ。

地面についた葉先にできた不定芽は、
そこで根を伸ばして新しい株に成長してゆく。
たとえ切断された葉からでも、
不定芽をだして成長することができるってんだから
これまた驚きだ。

本種の不定芽が
どういうタイミングで作られて成長するかは、
しばしば研究対象となっている。
興味のある方は調べられてみてはいかがだろうか。

不定芽による繁殖は、
この他にベンケイソウの仲間の一部などに知られている。
なかなか珍しく面白い現象である。


ショウジョウバカマの分布域は広く、
北は北海道から南は九州に及ぶ。
各地で地域亜種も知られ、
関東以西には純白の花をつける
シロバナショウジョウバカマも分布しているらしい。
花の色も多彩だ。
北の方へゆくと赤味が強くなる傾向があるという。

まだ寒い北国の春、
白い雪原に顔を出す赤い花は、
確かに猩々のそれを思わせるのかもしれない。
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3月 国分寺市
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3月 国分寺市

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