akiakane0926_3.jpg (24169 バイト)

アキアカネ       Sympetrum frequens
分布:九州以北


夕焼け小焼けの赤とんぼ。

我々にとって普通赤いトンボはすべからく赤とんぼである。
ところが実のところ赤味を帯びたトンボは一種類ではない。
都市近郊でも最低三種類、
ちょっと郊外に出かければ数十種類にのぼる赤とんぼが
夏の空や秋の空を群舞している。

もちろん別に全部赤とんぼとしておいて問題はないのだが、
このような文章を書こうと思うとそうも言ってられない。

昆虫類は身体が3つの部分に分けられる。
頭と胸と腹だ。
トンボ類の正確な種類を特定するには、
この胸の部分の模様が重要なポイントになる。

これは逆に言えば、見かけ上はその程度しか
明確な違いがなかったりするわけで、
なかなか始末が悪い。

都市部でよく見かける赤とんぼの代表種は、
ナツアカネと本種アキアカネである。

名前からすると、夏に飛んでるのがナツアカネで、
秋場になるとアキアカネだと思えば済むように見える。
しかし実際は困ったことに、
両方ともに6月頃から11、2月くらいまで見ることができる。
ただ、アキアカネの方は夏場はあまり赤くない。
初夏から盛夏にかけて見られる赤いトンボは、
ナツアカネだと思っておけばまあ間違いはないだろう。

だが、秋になってアキアカネが赤くなっても、
やはりナツアカネは赤い。

9月下旬に撮影したこの画像は、
当初てっきりナツアカネだと思っていた。
念の為にと拡大写真で胸の模様を確認したところ、
どうもアキアカネらしいという事実が判明したのである。

もちろん、竿の先などに止まっているのを見て
「あー、赤とんぼ」と思う分には
一向どちらでも構いはしないのだが。

アキアカネは水辺で羽化した後、
長距離を飛行して山地に入り、
山頂付近や稜線に集まって夏を過ごす。
秋風が立つ頃になると再び群をなして低地に降り、
交尾産卵を行なう。

野球場などでもおなじみの彼らの群舞は、
結婚飛行なのである。

秋の高い青空に舞う茜色のトンボは美しい。

akiakane0926_2.jpg (12862 バイト)
9月 東京都文京区

→INDEX    →TOP