これは逆に言えば、見かけ上はその程度しか
明確な違いがなかったりするわけで、
なかなか始末が悪い。
都市部でよく見かける赤とんぼの代表種は、
ナツアカネと本種アキアカネである。
名前からすると、夏に飛んでるのがナツアカネで、
秋場になるとアキアカネだと思えば済むように見える。
しかし実際は困ったことに、
両方ともに6月頃から11、2月くらいまで見ることができる。
ただ、アキアカネの方は夏場はあまり赤くない。
初夏から盛夏にかけて見られる赤いトンボは、
ナツアカネだと思っておけばまあ間違いはないだろう。
だが、秋になってアキアカネが赤くなっても、
やはりナツアカネは赤い。
9月下旬に撮影したこの画像は、
当初てっきりナツアカネだと思っていた。
念の為にと拡大写真で胸の模様を確認したところ、
どうもアキアカネらしいという事実が判明したのである。
もちろん、竿の先などに止まっているのを見て
「あー、赤とんぼ」と思う分には
一向どちらでも構いはしないのだが。
アキアカネは水辺で羽化した後、
長距離を飛行して山地に入り、
山頂付近や稜線に集まって夏を過ごす。
秋風が立つ頃になると再び群をなして低地に降り、
交尾産卵を行なう。
野球場などでもおなじみの彼らの群舞は、
結婚飛行なのである。
秋の高い青空に舞う茜色のトンボは美しい。 |