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7月 東京都江戸川区

アオモンイトトンボ  Ischnura senegalensis
分布:本州・四国・九州

イトトンボは楽しい。

水辺の草叢を歩いていると、
足元にふらふらと漂う青い点々がある。
よく見ると動きが平行なので、
2つの点が繋がっているのだと判る。
アオモンイトトンボの頭とお尻の青い模様なのだ。

いかにも頼りなげな飛び方の上、
ちょっと飛ぶと疲れるのかすぐに休む。
颯爽と空を舞い餌を狩るトンボのイメージとは大違いだ。
本当はガガンボじゃないのか君達。
…などと侮ってはならない。
なかなか一筋縄ではゆかない虫なのである。これが。

まずは例によって同定の難しさ。
トンボの仲間を見分けるのはどれも結構大変なのだが、
中でもイトトンボ類は群を抜いてわからない。
日本に生息するイトトンボの仲間はだいたい40〜50種。
これが大なり小なり実に似たような感じなのである。

東京辺りでもっとも普通に見られるのは、
アジアイトトンボと本種アオモンイトトンボ。
で、この2種の同定のポイントは、
腹部の黒条の始まり方だとか
先端の斑紋の位置だったりするわけで。

▼アオモンイトトンボとアジアイトトンボの相違点
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(原図:「トンボのすべて」井上清・谷幸三 トンボ出版 1999)

いやいや、こんなの普通わかんねっすよ先輩。
相手は4センチくらいの虫ですぜ。
まあ専門家はそんなこと言ってられないのだろうが。

さらにやっかいなのは雌だ。
たとえばアオモンイトトンボの場合、
雄と同じ色をしている雌と
成熟する前だけまったく色が違う雌もいる。
しかも別に地域変異ではない。
同じ生息地で両者が入り乱れて飛んだりしているので
なんかもう大変だ。

下に示した鮮やかなオレンジ色のものは、
本種のいまいち未成熟な雌なのである。
これが上と同じ種類と言われても困ってしまいますがな。


アオモンイトトンボは海に近い池沼に多く見られる。
水質はさほど綺麗である必要はない。
むしろちょっとくらい澱んでいる方を好むようだ。
汽水でも平気である。
7月末、東京湾に面した池のほとりには
たくさんの本種の舞姿が見られた。

小さいながらもやはり
その頭胸部の金属光沢は美しい。
交尾を始めるものもいる。
蛍光ブルーとオレンジの対比が見事なタンデムである。

もっとも衆人環境であるため、
あまり落ち着いて結婚飛行を楽しむゆとりはない。
写真のカップルも、
やんちゃな他の雄に
がすがす体当たり攻撃を受けていた。
それでも決して離れようとしなかったのは、
なかなか強い愛の絆であるといえよう。


で、最後にイトトンボの何がやっかいかというと。
デジカメのオートフォーカスで
物凄くピントが合わせづらいのだった。

小さいし細すぎるのよ、君らホンマ。
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交尾  7月 江戸川区




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 未熟な♀  7月 東京都江戸川区

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