|
|
とはいえ少年三文文士は 特にカマキリを好んでいた訳ではない。 コカマキリの項に記したように、 この仲間は好戦的な種族である。 私もその頃はまだ平和主義者であった。 逆三角形の顔もすこぶる悪相だ。 実に愛想がない。 共食いなんかもしたりして実に野蛮である。 それでもなお主人公をカマキリに擬したのは、 その闘いに生きる姿に どこか惹かれるものがあったのだろうか。 本種カマキリはチョウセンカマキリとも呼ばれ、 この仲間を代表する普通種である。 しかし近年都内で見かける機会はめっきり減った。 一回り小さな茶色いコカマキリなら 23区内でもちょくちょく出くわすのに。 だが、冬枯れの季節になれば 市街地の生垣にも 特徴的な薄茶色の卵塊を見出すことができる。 勇猛な狩人たちは、 都会の片隅でひっそりと命を繋いでいるのだ。 カマキリには、全身が緑色のものと 薄茶色に塗り分けられたものの2種類がある。 緑色のカマキリには類似品がいくつか存在する。 一回り大きいのはオオカマキリ。 腹部が大きく脇に白い斑紋があるのが ハラビロカマキリである。 もっともカマキリの雌は雄より大柄なので、 これらをとっさに見分けるのはやや慣れが必要だ。 小説は3年生くらいから 中学に入る頃まで書き続けていた。 その間に登場人物たちも歳をとる。 やがてカマキリ君は主人公の座を明け渡し、 自分は傍観者に徹するようになった。 そして、そのまま現在に至っている。 もう痩せぎすとは言えないけれど。 |
10月 東京都あきるの市 |
10月 東京都あきるの市 |