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ノコギリほどではないが、 コクワの個体差もなかなかなものだ。 右の写真と比較して頂きたい。 第1回登場の大アゴ中央にある突起が、 上の個体にはないことがお分かりだろうか。 長さもメス程ではないにせよやや短い。 そして何よりも全体がミニチュアサイズである。 右中は上と同じ個体。 うとうと昼寝してるところを掘り出され、 はなはだ不機嫌な様子である。 大あごをくわっと開いて怒っているのだが、 なんだかむしろ可愛らしい。 このようなちびちびコクワガタは、 子供の頃は当然のように軽んじられていた。 なんつってもでっかくて格好いいのが偉いのだ。 男の子だもん。 しかし大人になってみると、 その優しい風貌に却って心惹かれる。 目なんかくりくりしてるし。 デパートの店頭に並ばない、いちばん身近なクワガタ達は あの頃からやっぱりこういう連中だった。 小さくても格好悪くても、 自分の手で探し捕えた喜びは忘れられない。 だから品評会クラスの立派なクワガタよりも、 より多くの記憶を宿している。 * * * クヌギ林には虫に好かれる木がある。 樹液の出ている出ていないに関わらず、 色々な虫の集まる場所があるものだ。 コクワガタの居場所を教えてくれたのは、 頭の上ほどの高さに止まった 一匹のキマダラカミキリだった。 視線を落とすとコフキコガネがせっせと幹を登っている。 ここだな、と思って根元の柔らかい土を少し掘ると、 就寝中の彼に出会ったのだった。 しばらく遊んでもらった後は、 寝床に埋め戻しておいた。 彼がどんな夢の続きをみたかは知らない。 * * * 右は別な場所で会ったメスである。 コクワガタのメスはスジクワガタと紛らわしいが、 後者の方が鞘翅の線がくっきりしているので区別がつく。 以前も触れたように、 クワガタのあごに挟まれるのはメスの方が痛い。 心なしか風貌もオスより険しいような。 |
第1回のコクワガタ 8月 東村山市 ぷんぷん |
コクワガタ♀ 8月 東京都東村山市 |