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みんみん鳴くからみんみん蝉。 |
ちょっと前までは街のセミといえば1位はアブラゼミで、 2位は小さなニイニイゼミであった。 しかしニイニイの分布は年々郊外に移動しつつあり、 代わってこのミンミンが進出して来たのである。 確かにここんとこ夏になると ミンミン鳴く声が一際かしましい。 今年は気温が上がらないせいか アブラゼミはやや少ない。 その分ミンミンの割合が高いような気がする。 右の3枚はマンションの玄関先で撮ったものである。 いつものようにセミが落ちていたので近寄ってみたら、 ミンミンゼミだったので少し驚いた。 例年はアブラゼミの休憩所になっている場所だ。 突っついてみたらうるさげに飛び立ち、 ドアにぶつかってまた元の場所に落ちた。 ミヤマカミキリといいこやつといい、 仕方のない連中である。 大きいセミなので見分けるのは比較的たやすい。 身近な種類でこのサイズに育つのは クマゼミ・アブラゼミと本種くらいである。 クマゼミは頭と胸が真っ黒だし、 アブラゼミは羽が茶色い。 緑を基調にしたカラーリングは ヒグラシにもやや似ているが、 これは胴の長さを見ればよろしい。 ヒグラシの腹がずいぶん長いのに比べ、 ミンミンゼミはびっくりするほど寸詰まりなのだ。 最初に近くで見たときは、 死骸だったせいもあり 誰かに下半分を食べられてしまったのかと思った。 従って翅が長く見える。 ツクツクボウシやヒグラシのような完全な透明ではなく、 うっすらと淡い色味を帯びた翅だ。 個体変異の多い胸元の模様もなかなか小粋で、 よく見るとなかなか美しいセミである。 セミの姿かたちはカブトムシと並び、 昆虫の造型のパターンとして取り上げられることが多い。 玄関先のセミを拾い上げてみると、 バルタン星人の顔をしていた。 厳密にはバルタン星人の原型である セミ人間の顔なのだが。 そりゃセミの顔だよな。 これを書いている今現在、 東京は8月中旬にして秋雨のような空模様である。 気温は25℃を下回り、 外はそぼ降る鈍色の雨だ。 しかしそれでも雨音に混じって セミの鳴き声が響いている。 それは短すぎた夏に対する、 抗議のシュプレヒコールにも聞こえた。 |
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フォッフォッフォ 8月 東京都文京区 |