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10月 あきるの市

ナツアカネ  Sympetrum darwinianum
分布:日本全土

11月も半ばになってナツアカネは
少々時期はずれっぽい。

が、実際にはナツアカネは十分に秋の虫であり、
ちょっと暖かい日なら今時分でもまだ普通に飛んでいる。

そもそも本種の赤さが際立つのは秋口だ。
ナツアカネが本領を発揮するのは、
9月を過ぎてからなのである。

ナツアカネは胸元から顔までが真っ赤に染まる。
よく似たアキアカネは
右中の写真のように胸は薄茶色のままなので、
同定もしやすくなってくるってえ寸法だ。

やはり赤トンボは秋の風物詩なのである。

あのねのねに「赤とんぼ」という不思議な歌がある。

最近のお子はご存知あるまい。
あのねのね自体を知らないまであるか。
ブックオフのCMとかやってるバス釣り師の清水国明が、
原田伸郎と組んでいたユニットである。
多少はまじめな歌もあるが、
おおむねコミックソングで知られている。
「赤とんぼ」はその代表曲のひとつだ。

歌詞をそのまま引用すると
JASRACのお叱りを受けるので、
あらすじだけ述べる。
要は赤とんぼの翅をむしったらアブラムシになり、
さらに足をもぐと柿の種に変貌するという内容の歌だ。
「ケメ子の歌」などと同様、
いわゆるナンセンスソングって奴である。

少年日高トモキチとしては、
赤トンボと柿の種の類似は認めないでもなかった。
柿の種は植物の種子ではなくおつまみの方として。

しかし間に入るアブラムシがわからん。
どっちにも似てへんがな。

だいたいアブラムシといっても、
植物の汁を吸うアブラムシ、いわゆるアリマキを指す場合と
ゴキブリを指す場合がある。
どっちだ。
ゴキブリには翅があるので、やはりアリマキの方か。
それにしては赤トンボに比べてサイズが極小すぎる。
形も紡錘型ででぶでぶしてるし。

街行く人々が無邪気に口ずさむ、
この道化た歌のどうでもいい点が気になって、
私はいまひとつ楽しむことができなかった。
難儀なガキンチョである。

月日が流れ、今となっては
ナンセンスソングの矛盾点を指摘する行為、
それ自体がナンセンスであることを承知してはいる。
んでも、だったらもっと飛躍があっても良いのにな、とも思う。
赤トンボの翅をもいだら土星人、とか。

だが、そしたらおそらく一般受けはしなかったろう。
いや土星人でなくても。

赤トンボにもアブラムシにもさしたる興味はなく、
それでいてあまり突飛な発想にはついていけない。
そんな、ごく普通の人々のための
マイルドなナンセンスソング。

それでいいのだ。
日々の暮らしに疲れた心を癒すのに、
小難しい理屈や
アヴァンギャルドな発想は要らないだろう。


ナツアカネの赤色は、
やはり全身が色づくショウジョウトンボの朱色より深い。
まさしく茜色だ。

今思えば
あのねのねが歌った赤とんぼは、
全身が真っ赤に染まった
ナツアカネだったのではないだろうか。

別に根拠はないのだけれど。
なんとなく柿の種っぽいし。
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アキアカネ 9月 町田市




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10月 あきるの市

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