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ニジュウヤホシテントウ       Epilachna
vigintioctopunctata

分布:本州〜九州・南西諸島

生物の名前につけられた数字としては、
おそらく最大値ではなかろうか。

28個の星のあるテントウムシ、とは
いかにもシンプルな命名ではある。
シンプルだがしかし、
咄嗟にこの6〜7mm程度の虫の
背中の斑紋の数を勘定するのは容易ではない。
今回初めて写真を見ながら数えてみたが、
確かにだいたい28個あるようだ。
種小名のvigintioctopunctataも、
ラテン語で「28の点」という意味である。

ナミテントウの星の数が個体によってまちまちなのを思えば、
なかなか律儀な昆虫ではないか。

我々のこの虫に対する最初の認識は、
たいがい「益虫と害虫」の後者の代表選手としてである。
これはつまり同じ仲間のナナホシテントウや
テントウムシ(ナミテントウ)が、
益虫の代表選手だからに他ならない。


ナナホシテントウの主食はアリマキである。
夏場にバラの茎なんかにびっしりたかっているアレだ。
樹液を吸って生活し、
植物を病気にしたり枯らしたりしてしまう。
農家や園芸家にとっては大害虫だ。
そんなアリマキを片っ端から食べ尽くすテントウムシは、
人間にとってはありがたい益虫なのである。

しかるに同じテントウムシの一族でありながら、
ニジュウヤホシテントウは草食昆虫だ。

彼らの主食はナス科の植物の葉っぱである。
ナスやトマトはもちろん、殊にジャガイモが大好きだ。
放っておけば葉が穴だらけになって枯れてしまうので、
駆除しなければならない。
まったくもって害虫である。

人間のためになるテントウムシの仲間のくせに害虫。
ついついそんな紹介をされがちな、
ニジュウヤホシテントウなのだった。
立派な人の親類にやくざがいるような扱われ方である。

もっとも彼等の嗜好をごく公平に判断すれば、
草食のニジュウヤホシに比べて
肉食昆虫のナナホシの方がよほど獰猛なのだけれど。

八月、新宿御苑でワルナスビの花を撮っていたら、
葉の上にこの小さなブローチが乗っかっていた。

名前の通りワルナスビもまたナス科の植物だ。
そしてやはり名前の通り、
畑や庭に勝手に入り込んではびこる害草でもある。
葉の裏にトゲなんぞ生やしていてかなり悪っぽい。

さて、今ここで害草を食べているニジュウヤホシテントウは、
果たして益虫なのか害虫なのか。

むろん彼ら自身が、
そんなカテゴライズを意に介する訳もないのだが。

nijuuyahoshitentou0809.jpg (36949 バイト)
8月 東京都新宿区

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