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ヨウシュミツバチ       Apis mellifera
分布:北海道〜九州

ヨウシュは洋種である。セイヨウミツバチともいう。
どちらも本邦の在来種ニホンミツバチに対して
付けられた名前である。
1886年にハチミツを採るためにヨーロッパから移入され、
以来ミツバチといえばこの虫を指す。
それ以前はニホンミツバチから採蜜していたのだが、
やはりヨーロッパ諸国で古くから飼われている本種の方が、
性質もおとなしく飼いやすかったのである。

帰化種の常として、ヨウシュミツバチも
ニホンミツバチの生活圏を脅かしている。
現在普通に野原で見られるのはまずヨウシュミツバチだ。

ところが、そんな元気な外来種にも弱点があった。

ミツバチの天敵といえば、
ハッチの昔からスズメバチである。
殊に日本産のオオスズメバチは世界最大の蜂で、
ミツバチの巣を集団で襲っては略奪の限りを尽くす。
小学校の頃、友達の家が片手間に養蜂を営んでいたが、
スズメバチの襲撃を受けて壊滅状態になってしまった。

古来、この恐るべき襲撃者たちと
数えきれぬ死闘を演じて来たニホンミツバチは、
この天敵に対する攻略法を会得しているのである。

スズメバチが巣に入り込むと、
ニホンミツバチは群れをなして彼ら一匹一匹を取り囲む。
そしておのおのの体温を上げ、
相手を蒸し殺してしまうのだ。
必殺のおしくら饅頭戦法である。

オオスズメバチはヨーロッパには分布していない。
従ってヨウシュミツバチはこの対処法を知らず、
襲撃を受けるとひとたまりもなく全滅してしまうのだった。

写真はアマナの花を訪れたヨウシュミツバチである。
足の花粉だんごがお分かり頂けよう。

前述のようにおとなしい種類なので
怖がるには当たらないが、
近くに巣がある場合は要注意だ。
ミツバチの国は非武装中立ではない。
有事に対しては積極的に立ち向かってくる。
ミツバチの毒は過敏症を引き起こす場合もあるので、
油断は禁物である。

日常的に刺されていた養蜂家でも、
しばらくブランクが空くと
その間に体内に抗体が結成されてしまう。
すると次に刺された時に過剰な抗原抗体反応を起こし、
ショック死に至るケースも稀ではない。

アマナの花から100メートルほど奥に入った
サワラの木に彼らの巣があった。
幹の途中の裂け目の周りは、
仕事に出る蜂や帰ってくる蜂でぶんぶんと賑わっていた。

この小さな森には毎年スズメバチも営巣する。
ミツバチたちが日々を平穏無事に過ごせることを願いつつ、
静かにその場を離れた。

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4月 東京都文京区

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