Nikon FM2+Ai-s NIKKOR 50mm/1.4 Nikon NewFM2
カメラの極北

カメラを写真を撮る道具と定義するならば、
これはその極北に位置するカメラだ。

即ち、写真を撮る為に必要な
最小限の機能しか搭載していない。
逆に言えば、これだけの機能があれば
写真は撮れるというカメラである。

フィルムを手で入れ、手で巻き上げ、
手で露出を合わせ、ピントを合わせてシャッターを押す。
撮りおわったら手で巻き戻す。
フルマニュアル一眼レフ。
それだけの道具なのである。

OM10の項で述べたように、
シンプルなカメラこそが入門機であるとすれば
正しくFM2は入門機中の入門機に違いない。
複雑な操作は一切必要ないが、
ひと通りの知識が無ければ全く扱えないのだから。
要は、この一台さえ完全にマスターすれば、
どんなカメラでも(基本的には)扱えることになる。
それゆえこのカメラは、安価さも手伝って
写真学校の教材として広く使われている。

ところでFM2には、そういう入門機としての顔以外に
もう一つ、信頼できる絶対的サブカメラという地位を
ニコンユーザーに与えられている。
つまり、電気に頼らない
フルメカニカルカメラであるという点において。

一応電池室はあるのだが、
これは内蔵露出計の針を動かすためだけの電源で
電池が切れたところで他の部分は完全に普通に動く。
機能が少ないということは、
それだけ故障個所が少ないということでもある。

ニコンはMFからAFに移行する際に
レンズマウント部の変更を行わなかった。
だから、F5用の最新式レンズであっても
このシンプルなFM2に装着して使うことができるのだ。

トラブルが予想されるような場面において、
ニコンユーザーはF5やF4と一緒に、
この軽いカメラをバッグに放り込んでゆく。
これは保険であり、大きな安心感でもある。

FM2は、いわばニコンの小さな良心と言ってもいい。
現在もなお生産が続けられているゆえんである。
Nikon FM2