Leica M4-P+M-ROKKOR 28mm/2.8 Leica M4-P
ライカを買うな

ちょっと困る質問をされることがある。
「やっぱりライカっていいですか?」という、
それだ。

そういう質問のうち何割かは、
「やっぱりロレックスっていいですか?」というのと
同様のニュアンスで発せられた言葉だったりする。

ロレックスがいい時計かどうか、
持ってないのでわしゃ知らん。
が、少なくとも誰でも腕に嵌めて歩けるし、
時間を確認することはできるはずだ。


しかし、ライカはフルマニュアル・フルメカニカルのカメラである。
最新型のM6ですら、その機能はOM-1やFM2と何も変わっていない。
再三述べてきた通り、
カメラに関する基本的な知識がなければ、
ちゃんとした写真が撮れない代物なのだ。

従って先の質問に対する答えは、
「あなたがカメラに関する基礎知識があって、
マニュアルでカメラ操作をするのを厭わないならば、
いいカメラですよ」
なのである。
この条件に当てはまらない人には、
ライカを買って欲しくない。

殊に中古のライカは、生産台数が限られている。
使えもしない連中が興味本位で買うから、
ライカの中古価格は高騰し、
本当に使いたい人のところには届かなくなってしまうのだ。

少なくともM3以降のライカは、骨董品なんぞではない。
今でも十二分に使える道具である。

・・・とはいえ、かくいう私も数年前までは
「ライカなんて成金ジジイの持つ骨董品」と思っており、
まったく興味がなかった。
それが、このM4-Pを持つようになったきっかけとは、
ある人物との出会いによるものだ。

プロカメラマン、M氏。
この職業写真家でありながら無類のカメラ好きである人物は、
取材の現場で2台のEOS1Nを振り回すと同時に、
ワインダーを付けたM4-Pで
カシャカシャとリズミカルにフィルムを消化していたのである。

彼がM4-Pで写した画が雑誌の巻頭グラビアを飾った時、
私は瞠目した。

ライカは、現代のプロカメラマンの
第一線での使用に立派に耐えるツールなのだ。
そしてそれが、
ドイツ製ではなくカナダ工場で生産されたという理由で
コレクション的価値のまったくない、
M4-Pという機種だという点も気に入った。
コレクション的価値がないということは、
中古相場もそれほど高くないということでもある。
投げ売りの値段ではないが、
それでもEOS1やF5を買うより全然安い。

そんな訳で、今私の手元にはM4-Pがある。
ISO100のフィルムを詰めたら、
50mmレンズを装着してf5.6〜11まで絞り込む。
シャッタースピードは明るさに応じて1/30〜1/125に設定。
あとはちょこちょこと光線条件だけを気にしながら、
ピントはほぼ目測でパシャパシャと撮って行く。
かさばる一眼レフよりもずっと快適に、
咄嗟のタイミングに応えてくれる。

このM4-Pと、R1sあるいはGR1sの2台を
カバンに放り込んでゆくのが、
ここ数年の私の旅のスタイルである。
実に身軽だ。
サイクリングしながらのスナップとかいう、
一眼レフには絶対不可能な状況にも
難なく対応するセットである。

ライカM型は、本当に使えるカメラなのである。
だから重ねていう。
使う気のない人は、買わないで欲しい。

ライカが泣く。
Leica M4-P+M-ROKKOR 28mm/2.8