OLYMPUS OM10+ZUIKO AUTO 35mm/2 OLYMPUS OM-10
入門機の意味あいについて

生まれて初めて買った一眼レフである。

十数年前の貧乏高校生がちみちみ溜めた小遣いで
新品を買えた程度のブツだ。
オリンパスOMシステムの一番下に慎ましく位置する、
当時の初級入門機だったのである。コイツは。

そういった位置づけのカメラゆえ、
今、中古カメラ屋に行けば5〜6000円で美品が手に入る。
巷の鑑定価格はそんなもんだが、
私自身にとっては生まれて初めて手にした
自分の一眼レフカメラだ。
値段を付けられるようなものではない。


但し初級機と言っても、今でいうところの初心者向けカメラとは
だいぶ意味合いが異なる。

現在の「初級機」は、カメラに関する知識が全くない人でも
安心して扱える親切設計になっている。
言い換えれば、死ぬまで写真術のイロハを知らなくても
ちゃんと写真が撮れる仕組みになっている訳で。
要するに、別に「カメラ入門機」ではないのだ。

ところが、α7000以前の初級機というのは
単純に上級機がランクダウンしただけの代物だった。
OM10にしても、
当然ピントは自分で合わせなければならないし
とにもかくにも絞りの設定をしなければラチがあかない。
ではいったい絞りとは何か。
絞りを開けたり閉じたりすると何が起きるのか。
そういったことを、いちいち自分で覚えなければ
どうしようもなかった。
気が付くと勝手に写真術に「入門」させられていたのである。

そういった意味で、かつての初級機はまさに入門機であった。
おかげで今のカメラ馬鹿な私がいる訳で。

さて、OM10の最大の問題は
フォーカシングスクリーン
(ピント合わせをする為のスクリーン)であった。
ピントが掴みにくいのである。
当時レンズに対する知識のあまりなかった私は、
開放値の暗いズームをコレに装着していた。
当然ファインダーは暗くなり、
ピント合わせの難度をいや増す。
その頃は目測で合わせるという技術もなく、
「やっぱりカメラは難しいなあ」等と思っていたものだ。

それだけに、やがてオートフォーカスの時代が来ると、
すっかりそっちに気が行ってしまったのである。
哀れOM10はケースの奥へと追いやられてしまった。


コレクターがカメラを死蔵させるのを嫌う私は、
使わなくなったカメラはどんどん売り払う主義である。
道具として生まれたからには、
誰かに使ってもらった方が幸せだと思っているからだ。

しかしOM10だけはさすがに思い入れが強く、
使わなくなってからもずっと家で眠っていた。
交換レンズも全て売り払ってしまったのに。

が、ある時ふと気がついた。
「明るい単焦点レンズを付ければ、
ファインダーは明るくなるんじゃないか?」
実は当り前なのだが、
昔はそんなことにも気付かなかったのだ。
だって初心者だったんだもん。

私は35mm/2の小さなレンズを中古で購入した。
今度は大丈夫、
35mm準広角ならf8まで絞り込めば、2m以上のものには
そんなにシビアにピントを合わせなくてもいいことも判っている。
そして、この小さな軽いレンズは
驚くほど綺麗な写真を写してくれたのである。

かくてOM10は生き返った。
やがてOM-1が増え、
オリンパスの誇る中望遠マクロ90mm/2が増え、
OMは軽快なサブシステムとして、今も活躍しているのである。
OLYMPUS OM-10+ZUIKO AUTO-MACRO90mm/2