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RICOH R1s 愛情に応える道具 ここ数年、最も使ったカメラである。 |
そうなると、携帯性がいいというのは 大変に大きなアドバンテージだ。 R1sは上着のポケットに入れていて邪魔にならない。 服を着、カバンを持っていれば いついかなる時でも携行が可能なのである。 実際、いついかなる時も携行していた。 今でこそGR1sやTvsの時もあるが、 今年の春までは本当にどこに行くにもR1sと一緒だったのだ。 そういえば、とある雀荘で 某編集さんの初役満を記録したのも、コイツであった。 いつもの日常の、ふとしたイベントを記録する。 そんな仕事にうってつけの道具なのである。 また、小さいカメラというのは 撮られる側も構えない。 一眼レフに対峙されると顔が強張る人でも、 リラックスしたいい表情を見せてくれる。 この、相手に緊張を強いないというカメラの大きさは ライカM型が限度であるらしい。 私がM4-Pをポートレート撮影に使うゆえんである。 んで、R1sの30mmレンズというのがまた すっきりとした描写をしてくれるのである。 安価ながら設計に手抜きがなく、私の嫌いな歪曲収差も殆どない。 コンパクトカメラといえば 無限遠のピントが悪いと相場が決まっているものだが、 このカメラにはちゃんと無限遠モードが設けられている。 3点マルチフォーカスは、どんなシロウトさんに渡しても まずピントが抜けることがない。 ファインダーは明るいし、いざとなれば 30センチ近くまでの近接撮影も可能だ。 おまけに何つっても安い。 安いというのは、余計な心配をせずにがすがす使えるということでもある。 いいことずくめである。 が、乱暴に使いすぎて私はひとつ失敗をやらかした。 取材に行った先の高知県桂浜でのことである。 浜辺ですっ転んで、濡れた砂の上に落とすという およそ絶対にやってはいけないことをやってしまったのだ。 |
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一緒に落とした9xiは防滴加工のせいで事無きを得たが (このへんがフラッグシップモデルの偉いところだ) R1sはさすがに防水加工はしていない。 隙間という隙間に海水で湿った砂が入り込んでいる。 砂、水、塩分。いずれもカメラの大敵だ。 それが束になってかかってきたのだから、 たまったものではない。 私のR1sは、ピクリとも動かなくなった。 こうなると、やっぱり値段の問題ではない。 愛用していただけに、めちゃめちゃ悲しくなった。 東京に帰って一所懸命ブロアーや筆、綿棒で掃除をして なんとか直らないものかなあと念じ続けた。 するとどうだろう。 ある日、試しにメインスイッチを入れてみると 「ジー」と音を立ててレンズが出て来るではないか。 何とびっくり、直ったのである。 その後しばらくは レンズバリヤーの開きが悪かったりと 後遺症が残ったものの、 最終的には完全に復調してしまった。 手垢のついた表現ではあるが、 愛情を持って接すれば道具は応えてくれるものだ。 この傷だらけになったカメラを、 だから私は今も大事に使っている。 むろん、愛情を込めて乱暴に。 |
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