OLYMPUS XA 35mm/2.8 OLYMPUS XA
いつもポケットにXA

生まれて初めて自分で買ったカメラ。
いわば、その後の私のカメラ観の
全てをかたちづくった元凶である。

今でこそ「ちゃんと使えるコンパクトカメラ」というのは
一部を除いて高級品化してしまったが、
XAの時代にはまだまだボーダレスだった。
そんじょそこらのコンパクトと同じ値段で、
こんなに使えるカメラが買えたのである。

とはいえ、高校生の私がそんなに目が高かった訳はなく、
買った理由は単純にデザインと予算だった。
一番カッコよく、なけなしの貯金で買えるカメラを探したら
たまたまお宝を掘り当ててしまったのだ。

あとで知ったことだが、XAの設計は
例によってオリンパスの鬼才・米谷美久氏であった。
OMシリーズやオリンパスペンに注がれたのと同じ魂が、
このプラスチックの小さなカプセルには込められていたのである。
即ち、小さいがすこぶる使いやすいのだ。

写りの良さも驚異的だった。
それまで私は、父に譲ってもらったキヤノンデミを使っていた。
これは普通のフィルムの画面を半分づつに分けて使う、
ハーフサイズのカメラである。
36枚撮りで72枚も撮れるというお買い得品ではあったのだが。
いざXAを手にして撮ってみると、全く写りが違うのである。

当時レンズに関する知識などある筈のない私は、
これを単純に画面サイズの違いによるものと思い込み、
「あーやっぱハーフサイズってダメなんだ」と思っていた。
後で気が付いたことだが、これは単純にそれだけの問題ではない。
XAのレンズがめちゃめちゃ優秀だったのである。

その証拠に、後にOM10を買ってズームで撮っていた時、
XAよりも美しい写真が撮れたためしは滅多になかった。

そんなXAの唯一の弱点は、
ピント合わせであった。
ライカと同じ、距離計連動二重像合致方式なのだが
肝心の二重像がやや見えづらいのだ。
だが、これも判ってみれば
f8まで絞っておけば別にシビアに合わせる必要もない。

ただし寄った時は話は別で、
被写体に85cmまで近づいたら、今度は絞りを開けて
丁寧にピントを合わせる。
そうすると、綺麗にバックをボカした画も撮れるのだった。
現在のプログラムAEのコンパクトには出来ない芸当である。
もっとも、レンズ自体は35mmという準広角なので
あんまり寄るとパースがきつくなるのだけど。

モーターも何も内蔵してない為もあり、
ストロボを外したサイズは今でもずばぬけて小さい。
携帯性の良さは、コンパクトカメラの最優先事項である。
20年前のカメラではあるが、
既にコンパクトカメラの最終形が、そこには見えていた。

XAの命脈は、
現在もオリンパスμ(ミュー)シリーズに受け継がれている。
そしてμは天才森山大道氏の眼となって
「Hysteric Daido」という一冊の写真集を作り上げたのである。

んでも私はμはいまだに持っていない。 だったらXAの方がいいと
いまだに思っているからである。
OLYMPUS XA 35mm/2.8