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里山という言葉がある。
野山でも人里でもない、
自然の中に人間の生活が無理なく共存しているビオトープを指す。
ある種の人々に非常に好まれる画題だ。私自身も好きな風景である。

しかし里山は決して、
一部のナチュラリストが考えるような理想郷ではない。
彼らがその眺めに満足するのは、
人間の生活を添景として片付けているからである。

添景に自己主張は許されない。
住人がマンションを建てたりスーパーを誘致したりすれば、
里山は単なる人里になってしまう。

草食昆虫が葉っぱに穴を開けるように、
人間は宿命的に自分の住む環境を改竄してゆくものだ。

里山の正体は片田舎であり僻地である。
それは開発途上の景色かもしれないし、
寂れゆく途中の光景かもしれない。
いずれにせよ、それは移ろいゆくものの過渡期の風景にすぎない。

理想郷は最終形たりうればこそ理想なのではないか。

そんなことを考えつつ、
なかば隠れ里じみたサンクチュアリを訪ねて来た。

以下はそんなうたかたの眺めの記録である。

                                                                             2002.June